(京阪神エルマガジン社発行 meets連載)

其の7 河童ラーメンはチェーン店か否か。

シの思う、食べモン屋のチェーン店のイメージ言うたら・・・。
味気のない店舗の内外装、無機質な受応えの店員、味の面では画一的で、
所詮はチン!チン!チン!の電子レンジ(※1)料理ばっかりやないかい!

悪い風に言えばこんなとこですワ。しかし、それを別の言葉で言い換えたらこうなります。
共通のイメージの外装は一目で分かりやすい。店内は掃除が行き届いてキレイ。
ほんで、従業員はそれなりに教育されとる。味の安定性の面で言うたら
調理法が簡略化されて誰でも作れるし、なんと言ってもアトム(※2)のおかげで誰が作っても同じ味になる。

これらのことを一言で言うたら“安心感”ちゅうヤツですワ。
ワシらの小さい頃の外食言うたら(労働省の昼飯を除く)やっぱりハレの日の食事になります。
やっぱり子供受けのする、安心感あるチェーン店はそれなりに意味があったんやと思います。

で、誰がなんと言うても河童はチェーン店(※3)の定義を満たしてまへん。
まず、河童は全店味が違います。なぜなら、各店のレシピも、ビミョーに変えてあります。
ほんで各店マチマチの内外装でイメージの統一感なんてまるでありまへん。
おまけにお恥ずかしい話で、従業員は私の不徳の致すところで教育が行き届いておらん。
複数店舗を経営するうえで、こんなことを自慢げに語ったらいかんのやろうけど、
河童の現状はこんなモンで、チェーン店というには程遠いと思うてます。
でも、これがワシのやり方です。統一感を達成することには全くこだわりまへん。
店は増やしても、(あんまり増やすつもりもありませんが)バラバラの味でもええとさえ思うてます。
手作りラーメンの味の統一なんてまず不可能であります。
それやったら各店河童の基本は守らなあかんけど、それぞれオンリーワンの河童を目指すんが一番ええ。
お客さんには分かってもらえてると思います。


ほんなら、「おまえとこ、工場あるやんけー ほなチェーン店ちゃうの?」こない言う人もおります。

うーん、確かに工場機能のある工場店はありますけど、チン!チン!チン!するために包装加工したり、
だれでも手早く、温めたら出せるだけの完成品を作ってるわけやおまへん。
あらかじめやらんといかんことの重要性の高い食品、要するにラーメンは下ごしらえが全てといっても
過言ではない食べモンです。その部分を効率よくこなし、かつ、骨を大量に仕入れしてコストも下げる。
そのためには小さいといえども自社工場を持たんとあかん。それだけのことですわ。
一から十まで河童は河童で作っています。こんなん言うたらなんですけど、
ラーメンの集合施設に入ってるような銘店でもチャーシュー、
骨の下ごしらえなんかを外注しとるとこいっぱいありますワ。
よんどころない事情で、うちも作らせでもろたことあります。
けど、わしの中では河童の部分部分を外注することなんて、考えられまへん。
(偉そうなこと言うても製麺はこないだ始めたばっかしですけど)どない考えてもチェーン店ではない河童ラーメン。
自分とこで全部責任もって作ったら、店が10軒くらいまでやったら河童らしいラーメン歴でいけます。
で、なおかつチェーン店では断じてありまへん。
「もっと、店増えたらどうすんねん。」そう言われたら、「その後のことはその時考えまっさ」と答えときまひょ。

看板は同じ河童でもそれぞれにちょっとした個性のあるエキセントリックなラーメン屋軍団。
河童ラーメンを当面はそんな風にやっていったろうと思うてます。


※1 ある店の厨房なんて電子レンジだらけで、アルバイトの仕事見てたら小室哲也のコンサート
   ちゅうんやからって突っ込みたくなるくらいでしたわ。ただし、電子レンジの加熱による調理を
   否定してるわけとちゃいます。
※2 先月にも書きましたが、為念。科学の子。変じて科学の粉。故にアトムですわ。手塚先生ごめんなさい。
※3 チェーンストアのこと。経営者または企業が複数の店舗を直接管理運営すること云々、
   などと物の本には定義づけしてありますな、あえて詳しくは書きませんが…。
   逆説的かつ自虐的に物申しますと、河童がチェーン店“らしい”部分があるとすれば、
   経営者が資本社会の枠組みの中で利益を大切にしていることかもしれません。
   何回も言うてることではありますが、勝たんと話にならん。
   ナンボおいしいモン安う売っても一時的な商行為は独りよがりの域を出ません。


ラーメン資本論
其の1カツオブシとF1
其の2 "守・破・離"
其の3 売れたモンがうまいモン
其の4 食べもんとしてのバランスを欠いたらアカン。
其の5 ん?誰にでもできるこっちゃあらへん…。
其の6 たかが製麺、されど製麺。
其の7 河童ラーメンはチェーン店か否か。
其の8 飲食に関しては客もプロやということや。
其の9 ネットとうまいモン。
其の10 ココロの原風景はどこにあるか
其の11 未来の河童ラーメン[前編]
其の12 ラーメン屋のおっさんなんて…ラララ【最終回】