(京阪神エルマガジン社発行 meets連載)

其の6 たかが製麺、されど製麺。

ないだ(※1)マイドーム大阪へ【一鳳堂】(※2)代表、河原成英さんの講演会に出かけました。
河原さん曰く「外食事業者はもっと勉強(※3)せなあかん!
(大阪弁とちがいましたけど)。
力強くこう言うてはりました。加えて曰く、製麺を手がけることはいっぱしのラーメン屋として当たり前のことだとも。
やっぱり河原さんの言う事ことですから、ほんまの重みがあります。かく言うワシも今年から念願かなって製麺してます。
誇らしい気持ちになったと同時に、もっと早く自分の思いを実現しておくべきやったと後悔にも似た複雑な気特ちになりました。

たかが製麺、されど製麺。
いや、やってみると実に製麺は奥深く楽しいもんです。やってもやっても正解は出まへん。
せやからこそ、こんなおもろいことを外注したらあきまへんわな(反省)。自分で苦労して、楽しまんと。
ともすればスープばっかりに目が行きがちなラーメン店。
スープに凝ることこそがラーメン屋の本筋のようになってる様な気がします。
麺のことは、大事なこととわかっていながらついついスープのほうにかまけてしもてる店が多いでず。
巌しい言い方かもしれんが、スープの研究開発(※4)をして、努力したつもりになってるけど…
しかし、それこそ***にながれていることの証でしょう。
スープに凝って一所懸命になって炊いてると一種の達成感が出てきて、それが免罪符になって
「ここまでやってるとこあんまりないやろし、ここらでええやろ」と自分自身をごまかすんですわ、
ワシも以前はそうやった思たらお恥ずかしい限りです。
言うまでもなくラーメンの両軸はやはり麺とスープ。
具はオプションですわ。こんな当たり前のことやけど行なうは難し。
製麺を始めて本当によかったと思います。

ただ、勘違いせんとって欲しいのは一所懸命に
努力して、麺もスープも自家製やからお客さんの評価が得られるかどうかは別やということです。
前にも言いましたがオカァちゃんの手作り料理、確かにうまいけど商売となったらどうかな…ちゅうこってす。
自分で創ったからいうても結果に繋がらんかったらマズイもんの燈印を押されます。
100分の5の厳しいお客さんを相手にする〔河童ラーメン本舗〕、これぐらいのことは基本中の基本
気を引き締めてやって行かんとあきまへん。

で、もういっちょこないだの話。
こないだ東京にちょっとラーメン食べに行ってきました。
実名では書きませんが四軒ほどの有名ラーメン店で研究がてらラーメンを食べてきました。
そのうちの一軒は、アトム(※5)をバンバン入れてました。
なんかビックリするやらガッカリするやらで、うちの長男風に言うと“ビミョー”な心持ちになりました。
せっかく東京まで来たのに…。
あれ見てて東京のお客さん、なんとも思わんのやろか?
アトムは絶対にアカンとはいいませんが、豚骨のダシもアトムの前に無力化してアトムの味しかしませんわ。
っちゅうか、あんなにぎょうさん入れたらのど渇きまっせ。
まぁ、そのうちの三軒はやはり有名店らしく納得の一杯ではありましたが、麺は自家製麺ではありませんでした。
東京は地価が高いので商いのスペース以外に家賃がかかるのは大変な負担なんでしょう。ウチはその点は妥協せず当たり前ですけど、いつか東京に店を構えることになったら大阪から麺を送ったろかと思いました。やるかやらんかは分かりまへんけど。


そんなこんなで、ワシなりに努力して水鳥の足のごとく水面下では静かに、けどパタパタともがいてるんですが
こんな河童に「あんたとこチェーン店やろ」と言うお人がいます。うーん、河童はチェーン店でっしゃろか?!
チェーン店ってワシからみたら…、組み立てモンを売ってるアトム軍団!ですわ。で、ウチは?


※1 この間。ちょっと前にのこと。“こないだ”って大阪弁らしい言葉ですな。
※2 言うまでもなくラーメン界の巨人、河原成英のラーメン店。うまいです、はっきり言って。
   九州の本店にお邪魔したときは、結構衝撃をうけました。
※3 河原さんの「勉強しなさい!」の対象はワシら経営者のことですわ。ワシ等
   相手に講演してまんねんから当たり前ですが、ガーンときました。
   ワシ等経営者はともすれば下の者ばっかり怒って自分には目が向いてないことに気づかん。
   わしはスタッフに負けんように日々精進してるやろうか?一人よがりになってへんやろうか?
   そう思うたとたん、冷や汗かいて猛暑を促されました。
※4 ラーメンの部品の中でもっとも説得力あるんはやっぱリスープです。
   研究ちゅうのやったら寸胴の中を化学反応してのプールと考えなあかん。
   しっかりとしたロジックをもってことにあたらんと何も見えてこんのです。人様の口に入れるスープに化学反応いうたら
   なんか冷たい感じしまっけどプロとアマの仕事ははっきりとした境界線があるモンです。
※5 科学の子、もとい化学の粉です。グルソー、イノイチなどですな。
   今度のラーメン、試食会のラーメンはガツンと行くかさらりと行くか。当然、アトムレスです!


ラーメン資本論
其の1カツオブシとF1
其の2 "守・破・離"
其の3 売れたモンがうまいモン
其の4 食べもんとしてのバランスを欠いたらアカン。
其の5 ん?誰にでもできるこっちゃあらへん…。
其の6 たかが製麺、されど製麺。
其の7 河童ラーメンはチェーン店か否か。
其の8 飲食に関しては客もプロやということや。
其の9 ネットとうまいモン。
其の10 ココロの原風景はどこにあるか
其の11 未来の河童ラーメン[前編]
其の12 ラーメン屋のおっさんなんて…ラララ【最終回】